ADHDの経営コンサル情報日記

ADHD(注意欠如・多動性障害)特性を持つ経営コンサル会社社員の日記です。メンタルヘルス、健康、経営、業務効率化など、関心のあることについて書いていきます。

ADHDの片づけ術 その2

 

今日は、ADHDの人の多くが困っていると思われる、片づけ方についての記事第二弾を書いていきたいと思います。

とはいえ、私もあまり得意なことではなく、えらそうに書いていながらできていない部分が多い内容なので、厳しいツッコミはお控えください。

 

「定位置に戻す」前の下準備として 再び「不要なものを捨てる」

ADHD症状を持っている人はデスクまわりやクローゼットなど、整理するのが本当苦手で、いつも散らかしがちですが、すっきりした環境の方が落ちつきます。片付いていたほうが、多動の症状でまわりのものに目移りすることも少なくなり、生活をコントロールしやすくなりますから、ぜひ片づける習慣を身に着けたいところです。

片づけるためには、前回の記事で重点的に紹介した「不要なものを捨てる」事の他に、ものの定位置を決め、使った後は必ずそこへ戻すことが大切です。

ある程度ものを捨てたら、身の回りにあるものの定位置を決めて、そこに置くようにしましょう。

定位置としたい場所に置こうとしても、スペースが狭くて思ったようにしまいきれない場合もあると思います。その場合は、「ものが多すぎる」と考えましょう。

「ものが多すぎる」となると、再び「不要なものを捨てる」作業に戻ることが必要かもしれません。

「捨てられない」という方も、大事にとっておいた物の中にその存在を忘れていたアイテムを見つけたことがあるのではないでしょうか。本当に必要かどうか見直しましょう。

面倒な作業に「自分のルール」「自分の手順」を作る

世の中には、何でもないようなことだけど、ADHDの人にとってなかなか手が付けられなかったり、できずにいることがあふれています。

例えば、ゴミ出し。

分別するのって、結構面倒な作業ですよね?特に多動性の強い人にとっては、作業を最後まで完了させるのはすごく困難です。

そのため、ゴミ出しの方法が煩雑でゴミがたまって困っている人がADHDの人には結構いるみたいです。

そこで、一度時間をとって、しっかり捨て方を把握し、わかりやすく書き留めておきましょう。

できるだけ自分の言葉で書くといいですね。

例えば、まずはこんなふうに箇条書きしてみます。
(これはあくまで例です。自治体によって違うはずです)

  1. リサイクルできる『資源ごみ』(草木、紙類、かん、びん、ペットボトル)と、燃やすと有害物質が出る『有害ごみ』は透明の袋に入れる。
  2. 市が指定するゴミ袋に入れるのは、『燃やすごみ』はプラスチック、ゴム、皮革、生ごみ、油、紙おむつ、布きれ、紙屑、感熱紙、カーボン紙、燃やさないゴミは金属、金属を含む製品、陶磁器、ガラス製品、小型家電製品、その他
  3. 指定ゴミ袋に入らないものは、粗大ごみなので、コンビ二で処理券を購入して担当部署に電話する。
  4. かん、びん、紙、有害ごみは毎週水曜日に出す。
  5. ペットボトル、草木は第一、第三土曜日に出す。
  6. 指定ゴミ袋の燃やすごみは月曜、木曜
  7. 指定ゴミ袋の燃やさないゴミは第二、第四水曜
  8. スプレー缶は必ず穴をあけてガスを使いきって出す。
  9. ビンは中を水でゆすいでからだす。
  10. ペットボトルはふたを外し、ラベルをはがす。
  11. ペットボトルはできるだけ潰してから出す。

こういう公共のルールは細かいですが、『いつ何を出すか』は、できるだけスケジュールに入れて習慣化するほうがいいですね。放っておいて自然に覚えることを自分に期待しても、なかなか覚えないですから、思い立ったときにスマホのアラーム設定などはしたほうがいいですね。

 

ゴミ箱

また、分別しやすいごみ箱を作るといいと思います。
たまにどーんと大掃除するより毎日ゴミをためないようにすることが大切なんですが、ちゃんと分別できるゴミ箱がないとそれすらできないですし、ためると大変ですから。

ちなみにゴミ箱も少ない方が楽です。おそらく、どういうゴミ箱を用意するべきかは主婦、学生、会社員など、ライフスタイルで違ってくると思います。

私は40代男性会社員で、掃除の必要があるのは自分の部屋だけで、一番出るごみは紙のごみですので、廃棄用の紙類を入れるダンボールと、小さなゴミ箱だけにしています。こまごまとしたプラスチックやホチキスの芯などは机の中に小さな箱を用意して入れ、これは思い立ったときに出すようにしています。しかし、まだまだ机の中が散らかりますね。

小さなゴミ箱に入れる資源ごみだけ、できるだけ毎日、台所にある大きなゴミ箱にまとめています。しかし、よく忘れて出勤してしまいますけどね・・・

持ち物の量を制限するルール作り。正直私には難しい

当たり前ですが、普段過ごしている生活スペースや職場には、広さに制限があります。買い物癖がある人が多く、物を捨てるのが苦手なADHDの人にとっては、ものの置き場所に困ることが本当に多いんです。

ものが無制限に多くなると、困るのは自分なのですから、持ち物の量については自分でルールを作るべきなんだ、とADHD関連の本には、良く書いてあります。

たとえば本は何冊まで(この本棚に収まる以上は買わない)、服は何着まで(このクローゼットに収まる以上は買わない)、くつは何足まで(この靴箱に収まる分まで)、カバンは何個まで、とか。

しかし、これが私の場合、なかなか決められないんですね。

本の場合は、以前の記事でも紹介しましたが、解決策として、『scansnapで自炊する』ということをしだしました。

 

www.adhdconsultant.net

 


しかし、なかなか思うとおりに行かないですね。私の場合、通勤時間で毎日そこそこ時間が取られるので、現状では自炊も『たまにやる』程度になって来てます。

結構、本をばらすのも大変な作業だし・・・

いかん、ADHDの飽きっぽさが出てしまっている・・・でも「Scansnap」、使えるのは確かですよ。


本題に戻すと、ADHDの人で、ものが多すぎる人がルール化すべき例として、例えば、

  • 『読み終わっていない本』があるうちは本は買わない
  • 着ていない服が手元にあるうちは次の同じグッズは買わない
  • 読んだり着たりしてみてつまらない、いらないと思ったら捨てたり他人に譲るなどして処分する

といったことが言われることが多いみたいですね。

意外と自分で作ったルールは守りたくなるものですから、有効な手段だと思います。私も、取り入れていきたいです。

ものを減らすのはものの管理をしやすくするためです。

ある程度ものを減らしたら、次に行うのはものの定位置を決めることです。

使ったら必ずその位置に戻すことを習慣づけるわけですが、それもある程度ものの量が管理できる分量だからこそできる部分があります。

でも、ものってすぐに増えちゃいますよね。

ものを増やさないためにみなさんがしていることはありますか?

私の場合は、一応、『Amazonなどで買いたいものが出ても、欲しいものリストに数日入れておく』事は習慣にしています。

『あっ、いいな』と思っても、すぐに購入ボタンを押さずに、『でも予定にないから、今日は買わない』と思い直して、その場で買い物をしないということですね。

ADHDの人の中には買い物依存症やコレクション癖によって買い物をしすぎてしまう人がいるのです。

 私にも、そのような傾向が無きにしもあらず。

 

 まあ、私の場合基本的に出不精で、外に買い物に行くときはもうほとんど買うものが決まっている場合が多いので、衝動買いしてしまったりするのはもっぱらネットでの買い物についてですがね。コレクション癖(もしくはコレクション願望)も、結構あると思いますが、興味の分野が多岐にわたるので、買いたいままに買っていたらいくらお金があっても足りないので、本だけに留まってます。

 

 だから、Scansnapを十分に使いこなせてないのかなあ・・・


 どちらにしろ、こうしたルールを決めて衝動的な買い物を少なくするのは、自分にとってはいい方向に働いています。

『1日おいたらそんなに欲しくないや。似たのあるし。』となることも良くありますしね。

 

なるべくものを持ち込まない

 ものをなるべく家や職場の個人的なスペースに持ち込まないように心がけることも大切です。押し入れや物置など、収納場所が別にあるなら、使用頻度が低いものはなるべくそちらに移動するとかするのもいいと思います。

また、貸してもらったものは、借りっぱなしにしないで早めに返す。

ものをもらう時にも、不要だったら、断れたら断る。(人間関係にヒビが入らない程度に)

もしもらってもすぐに使うか、使わないものは処分する。

こういうことは鉄則でしょうね。

満杯の引き出しを片づけようとしたら中から使わない化粧品やメモ帳、ボールペン、付箋などの試供品がいっぱい出てきたという人も多いかもしれません。

いくら便利なものでも、持っていることを把握しきれなかったら持っていないのと同じですからね。

使うかもしれないからとっておこう、忘れてた、こんなのもらったっけ?なんて状態からは早めに脱出したいものです。

そして、一度しっかり掃除と片づけをして、ものが管理された状態を作ったら、それを維持すればいいんだ、と思えば、少しはできそうな気がしてきます。

あとで考えようじゃなくて今すぐ処理する習慣をつける。できないなら?

後回しにせずすぐに不用品を処分することも必要です。

とはいえ、何か仕事をしているときに、使うものを保管場所から机の上に持って来た後、片づけに気を取られて、作業自体に集中できなくなるのも困りものです。

私にもよくあるのですが、ホッチキスや紙に穴をあけるパンチなどを使った後、すぐに次の作業に取り掛かって、会社の同僚に迷惑をかけてしまうことがあります。

できるだけ、集中力を維持したいので、つい片づけを忘れてしまうのですが、これも、『今やっている〇〇の作業が終わったら、すぐ片づける』『その次は××をやる』とか、普段から使っている『何でも記録用』のリングノートに書いて、次にとるべき行動の一つに組み込んでしまえば、集中力を切らずにスムースに次の作業に取り掛かれる感じがしますので、いいですよ。問題は、『書く』こと自体を忘れないことですが。

すぐに片づけなくても人に迷惑をかけないものなら、片づけの判断に困ったものを入れておく箱を作っておくのもいいと思います。

職場では帰る前、自宅では寝る前、つまり一日の最後にそれをカラになるまで片づけをするようにしておけば、集中力を切らずに仕事ができます。これは私も時々やります。まだ習慣化するまで定着はしていませんが。

「今すぐ」片づけるのが無理、という人が、毎日必ず片づける習慣をつけるいい方法だと思います。

 

片付いた部屋の写真を撮る

あと、きれいに片付いたら、状態の写真を撮っておくのもいいと思います。

キレイな状態で気分がいい!という記憶を残せますし、その写真を見たら、片づけようというモチベーションも沸きます。見て確認できるとわかりやすいですから、どれをどこに置くようにすればいいのか、すぐにわかるので、片づけるという行動を起こすスターターにもなると思います。

そうやっていろいろな工夫を重ねて行きながら、最終的に片づけ自体を習慣にしていくようにしていく、というのが、ADHDの片づけ術の王道なんだと思います。

 

片づけが習慣化している状態とは?

『片づけが習慣化している状態』とは、たとえば、引き出しや戸は閉めながら、椅子は並べながら、落ちているものは拾って、片づけながら歩きます。

使ったものはすぐにしまい、こぼしたらすぐに拭き、飲んだり食べたりしたらそうする前と同じ状態に戻す、といった具合です。

こういうことは、時間が経つともっと面倒になるから後回しにせずすぐにやるんだ、と常に自分に言い聞かせましょう。

そうやって片づいたら、きっと気分がいいと思います。

すっきりして気が散ることが減り、仕事に集中できるようになると思います。

それに探しものをする無駄な時間が減ると思います。

でかける前に、ケータイはどこだ?前は探し物してばかりだったのが、多少なりとも改善するでしょうし、忘れ物やなくしものも減ってくると思います。

家事も捗るようになると思います。

洋服も本当に必要な服だけを残せば服を選びやすくなるはずです。

色々なものの配置が、見やすく、わかりやすくなります。

片づけのときにたくさんものを捨てることになり、『もったいない!買い物に計画性がなかった!』と思うので、これからは買い物をするときは慎重にしようと思えます。

片付いているメリットを意識する

片づけるモチベーションを上げるためには、散らかっていたときのデメリットと片づいてからのメリットを意識して憶えておくことは大事ですよね。

片づけよう、散らかさないようにしよう、という行動の大きな動機になりますから、あなたも自分自身の手で、メリット、デメリットを箇条書きしていくといいと思います。

散らかっているデメリット
  1. ごちゃごちゃして気が散る
  2. 探しものばかりして時間が取られる
  3. 忘れものやものをなくす原因になる
  4. 持っているものがわかりにくい
  5. ムダな買い物をしてしまう
片付いているメリット
  1. すっきりして集中できる
  2. 生活しやすい
  3. 仕事が捗る
  4. 持っているものを把握しやすい
  5. 買い物の重複がなく、お金を大事に使える

こういうメリット、デメリットが分かったら、もう散らかさないぞ!という気持ちになってきます。

一度片づけたら、その状態をカメラなどで記録しておき、一日の最後、一週間の最後な
ど時間を決めて、その状態を復元する「片づけの時間」を設けるようにしましょう。

片づけの上手な人に頼むことも一つの方法です。自分で手に負えない場合は検討してみ
てください。そのときに、できれば一緒に片づけを経験するとよいでしょう。何度か片づけの手順をくり返すうちに、もののあるべき場所や処分の方法がわかるようになります。

ポイントは、

  • ものを減らして定位置を決める
  • 片づけの時間を設けて、片づいた状態を維持
  • 人の力を借りてもいい

というところでしょうか。

片づけは、ADHDの人にとって永遠のテーマといえるくらい苦手なことですが、困っているのはあなただけではありません。お互い克服していけたらいいですね。

ADHDのやるべきこと管理法

タスクを片付けるには、まずリスト化

 

ADHDの人に多いのが、「やるべきこと(タスク)が予定通りこなせないこと」。段取りが悪くて失敗ばかりだったり、やる気が出なかったり、集中力がなかなか持たなかったりして、やらなきゃいけないことをこなせないんです。

そういう時には、とりあえずやらなきゃいけないことをリストにしてみましょう。

そもそも、やるべきことのほかにも、やりたいことや興味のあることが、頭の中でポンポン浮かんできて、ちゃんと認識する前に次に興味の対象が移ってしまって、やるべきことが何なのかが、頭の中で明確にできていないのが、なかなか集中力が発揮できない原因だったりします。

やるべきタスクを目に見える形でリスト化することで、視覚で確認できるようにすると把握しやすくなり、きちんとその事を完結させるまで集中することが出来るようになってくることがよくあるんです。

 

リスト化の次は必要な時間と優先順位を把握

 

では、とりあえずリストを作ったとして、これを上から順番にこなしていけばいいのか?と慌てて取り掛かろうとせずに、ちょっと待ってください。

まずは、リストに必要な時間と優先順位を付記してみましよう。

タスクには、重要度やかかる時間、取り組むことができるタイミングなどで優先順位を付けることができるはずです。

まず、重要度を考えると、例えば、社会的信用にかかわることは、重要度が上位です。

また、自分の人生設計のうえで重要度の高いもの、たとえば資格やスキル、語学の勉強などに高い優先順位を割り振ってもよいでしょう。

そして次に、締切などがあって今日しかできないことや、取り組める時間が限られているものをチェックしましょう。

たとえば窓口の時間が決まっているものや待ち合わせのように時刻が決まっているものは、特定の時間帯で用事を片付けないといけないので、その時間帯においては優先順位が高くなるはずです。

例えば、図書館は5時までだから、閉館の1時間前には図書館に到着する、などと予定を立てていくわけです。

それをさらにあなたの生活時間に当てはめてみましょう。場合によっては、円グラフなどでタイムスケジュールを作ってもいいでしょうし、簡単に手帳で当日のスケジュールに、取り組む時間とともにやるべきことを箇条書きするだけでも良いです。

書いてみると、すぐに手帳やグラフのの書き込むスペースがいっぱいになってしまい、タスク処理できる時間は限られていることが実感として分かるはずです。

時間を管理するのが苦手なADHDの人には、たいていのことは「いつでもできる」と楽観的に思っている傾向が強いと思うのですが、実際にはいつでもできるわけではなかったんだな、と思えるようになれば、だんだん時間を大切に使おうという意識が芽生えてくると思います。

作ったリストは、常に見えるところに置いておき、済んだものに印をつけるのもいいと思います。ただ、ペラペラな紙だと本や書類に埋もれてしまって何処に置いたのか分からなくなってしまうのもADHDの人にとってはよくあることなので、やはり手帳やスマホevernoteアプリやリマインダーアプリなどにリストを作った方がいいんでしょうね。

私の場合は、無地のリングノートと、evernoteを併用しています。単なるto doリストは、時間のある時にタスクにチェックボックス付で作成し、仕事中は気になったことや思いついた考えを何でもノートにメモします。ノートは、別に整然としていなくてもいいです。単純な足し算や掛け算などもノートで手書きして計算する場合も多いです。計算過程を残しておくことで、あとで仕事の解決に結びつくこともありますし、そもそも計算過程を忘れて、後で困ることも多いですから。

こういうことを考えたときに、「そうと決まればかわいいメモ帳を買いに行かなきゃ」とか、ADHDの人は考えがちです。

ADHDの人はひらめきが多いのでリストにないことが頭に浮かんでくることがあります。まさにそのメモ帳を、買いに行くとか。

そういったことに気をとられると予定していたこともできなくなるので、リストにないことをしたくなった場合には、とりあえず、その考えを書きとめて置きます。

こうすることで、安心できますし、いざ行動しようとすると、別のことに気が散ってしまう症状が結構緩和されます。

ADHDの多動性が引き起こす現象ですが、こんなふうに考えがボンボン浮かんでくることをポップコーン現象と呼ぶ人もいるようです。

また、浮かんだ考えを記録しておくとADHDの人の得意とするひらめきをきちんと活かすことができる可能性もあります。

私は、仕事に取り掛かる前に、一通りなんでも書き込んでいるノートをさらっと見直しするように習慣づけていますが、これで仕事の作業漏れがだいぶ減っています。


メモ帳の使い方あれこれ

 ここまでメモやノートの重要性を頻繁に書いているので、もしかしたら、
「メモ帳を持ち歩こうかな」
「メモをあちこちに置いておこうかな」
と思ってくださった方は多いかもしれませんね。

実際、ADHDでメモを活用している人は多いみたいです。

急な用事ができたときもまずはメモをします。そうすることで、用を忘れることが減ります。(ゼロになるわけではないことはもどかしいですけど・・・)

時間がかかりそうなことならタスクリストに入れることを検討しましょう。

まずはメモして、それから時間と優先順位を考えるようにしていきましょう。はじめから、効率よくタスクリストに入れようとすると、ADHDの人の場合は頭の中が混乱してきて続きません。

なんでも、まずはメモ、それから優先順位、と、手順を踏むことで、面倒なようでも結局はたくさんのことができるのです


また、こうしたメモは集中力を高めるのにも役立ちます。

書くことで安心してそのときすべきタスクに集中できるのです。

何かタスクリストの中にある作業中に、「あっ、用事を思い出した」ということがあっても、慌てずメモして、書き留めたら「よし!メモしたぞ」と心を落ち着け、タスクリストの作業に戻ります。そうすれば、ADHDの人にありがちな、
「ええっと、何してる途中だったんだっけ?」という状態も、
「そうだった、掃除をしている途中だったんだ」
と、元の作業に復帰できます。

メモとタスクリストのおかげで、そうしたことに気をとられてもまたすべきことを思い出せるはずです。

また、当然ですが、リストは仕事でも使うことができます。しなければならないことを忘れていないかチェックするのにも役立ちます。

ADHD的特性のある人ほど、こういうことは苦手で後回しにしていることが多いのですが、
「なにからやろうかな あっ、これが急ぎだ!」と選り分けていく作業が、苦手で面倒な作業ではなく、だんだん「絶対に必要な作業なんだな」と思えてきて、最終的には「自分を成長させてくれる、楽しくてありがたい作業だ!」と思えるようになれば理想ですね。

苦手な作業はできるだけ人にやってもらった方がいいのですが、この手の作業は、秘書がいる大企業の社長さんでもない限り、自分でやるしか方法はないですし、最低限、これくらいはやろうとする努力をしないと、ADHD症状は改善していかないのでは、と思います。(この手の作業は私も苦手なのですが、あえて自分のことを棚に上げて書いてます。スミマセン)

気が散るのを防ぐ方法

ところで、ADHDの人の場合、そもそも集中力を切らさずに持続させることが苦手な人が多いはずですが、集中力を切らさないために、いろいろな工夫をしていくのもいいのではないか、と思います。

私の場合、自宅の部屋の中で作業するときは、必ずブラインドを落として外の景色が目に入らないようにして作業しています。

他に、よくある方法として、本棚の中にある本に目移りしないように、本棚にカーテンを掛けたり、オフィスなどで作業している机の周囲に仕切りを付けて、周囲に人が通っても気にならないようにしていく、という工夫をよく聞きますね。

こうすることで、作業中につい漫画に手を伸ばして読みふけってしまったり、人が頻繁に通ることを言い訳にして、作業が進まずイライラ・・・ということも少なくなると思うので、なるほどなあ、と感心します。

私の場合は、本棚は気にならない、というよりむしろPC作業中にネットを見てしまう方が問題。ネット環境が必要ない作業のときは、ネットから切断したりしてます。オフィスの机まわりに敷居が元々あった環境なので、自分で仕切りを付けたりしたことはないですね。

職場でのデスクワーク中に、「パソコンで作業しているときにメールがくると気が散る」、という人の場合は、メールの着信を通知しない設定にして、メールチェックを1日の決まった時間にしか行わないことを習慣にするとよいと思います。たとえば、「9時と14時」「始業時と終業時」とか、1日に2回しかメールをチエックしないことを職場に理解してもらうのも良いでしょう。

人によっては、「午後1時から4時までは電話を取り次がないでね」と同僚にお願いすることで、電話も取り次がない時間を作ってもらうことでこなせる仕事の量を増やす、という方もいますし、それで業務上の支障を来たさないのなら、そのような方法を取っても良いと思います。

家にいるときもテレビがついていると家事や勉強の効率が悪くなるので、テレビは見たい番組を録画しておき決まった時間にだけ見るようにする、というのも一つの手でしょう。

こういう対策は、とにかく、自分がどういう問題に困っているのか、仕事や作業に集中できないなら、何が原因で集中できないのか、分かっているからこそ立てられる対策です。まずは、自分の問題を把握して、それに合わせてどのような対策を取っていくかを個別に考えていくことが大切なんだろうと思います。


やる気を起こす

やらないといけないことはあるのに、どうしてもやる気が起きない、ということもよくあることです。

そういう時は、小さな用事を何かひとつ片づけるようにする、というのが、一番効果があると思います。

そうすることで、小さい達成感が得られますしそのままやる気モードになることもあります。集中することさえできれば、一気に仕事を片付けられることもあるのがADHDの人の脳の特徴ですので、まずは取りかかるキッカケを作ってしまうのです。

やる気が出ない原因の一つとして、目の前にある作業の作業量が多かったり、難しかったりしてとても時間がかかり、めんどくさい作業に見えていることもあるのではないですか?

そういう時は、難しいこともいくつかに分割して少しでも手を付けるようにするのがいいです。

例えば、単純に「掃除を終わらせなきゃ!」という時、一言に掃除と言っても、パッと思いつくだけでこんなふうに分類できますよね?

場所で分類すれば、

  • 自分の部屋の掃除
  • 台所の掃除
  • 風呂の掃除
  • 客室の掃除
  • 家族の部屋の掃除 

片づけの種類で分類すれば、

  • 服の整理 
  • 食器の片づけ
  • 雑誌片づけ 
  • 掃除機で床のほこりや塵を取る
  • 雑巾をかける

5分類×5分類あるので、単純計算すれば25通りに分割できる事になります。風呂に食器はない、とか、細かいことは置いといて(^_^.)

これで、「まずは自分の部屋の服の整理だけ、一気にやってしまおう!」とか、考えることができるようになり、作業に取り掛かれるようになったりするんです。

こなしきれなかった仕事は必要だと思えば翌日のタスクリストに入れ直して、翌日に回してもいいんですよ。

 

まとめ

私自身の経験から言うと、難しいことは、気づいたことにどんどん手をつけず、工程を細分化する事だと思います。ADHDの多動性を発揮して、つい、思いついたことを思いついたその場でやろうとしてしまうんですね。

しかし、ちゃんと整理をることで、今すべきことが明確になり着手しやすくなります。また、気づいたことにどんどん手をつけず、リスト化して順位をつけ、優先順に作業をすることもできるようになります。

結局、ちゃんと整理して取り掛かるほうが近道だ、と自分の中で納得できるかどうか、ですね。

再度補足ですが、順位づけする時は、「これをやらないと人に迷惑がかかる」「今日中に手続きしないと、郵便局に行ける時間は来週までとれない」などを考えて順位づけしましょう。
そして、タスクを予定化しましょう。所用時間や、生活のために必要な時間(食事や睡
眠など)を考慮します。一日の時間のすべてをいつでも使えるわけではないからです。

また、慣れるまでは完壁を目指さないことも大事です。リストの中でできなかった項目
に落胆するのではなく、こなすことのできた項目に自信を持ちましょう。

  • 今までのことをまとめると、
  • すべきことを把握する
  • 忘れないようにする
  • 計画をたてる
  • 気が散らないようにする
  • やる気を出すために、工程は細分化
  • リスト化して優先順位をつける
  • タスクを予定にして、時間を確保する
  • 完壁を目指さず、できたことに目を向ける

こういった工夫をするようにすればよい、ということですね。
とはいえ、すぐにできるようにはなりませんし、自分のペースで改善していきましょう。

ADHDの部屋の片づけ術その1

ゴールデンウィークまっただ中ですが、みなさんどうお過ごしでしょうか。

特に熊本の被災地の皆様におかれましては、本当に大変な状況で、不安な日々をお過ごしのことと思います。一刻も早く、元の生活に戻れるよう、お祈りしております。

このような中で、募金する程度しか被災地の方に役立てることをしておらず、ADHDなどの個人的な症状の悩みの克服の記事なんか書いていていいのかな、とか思ったりすることもありますが、日々をまっとうに暮らせる自分になること、そのために学んだことや考えていることを書くことで、世の中が少しでもうまく回るようにするのも、一つの社会貢献なのかな、と思い、少しでも記事を書いていこうと思っています。

しかし、根気がないもので遅筆で申し訳ないです、読んでくれているみなさん<(_ _)>

ADHDの片づけ術


さて、今日はADHDの片づけ方法について、書いていきたいと思います。
実は、私にとっては時間管理と比較して、苦手意識が強い部分です。

おそらく、これは何度も同じテーマで記事を書いていくことになるであろうテーマなので、記事のタイトルは「ADHDの部屋の片づけ術その1」としておきます。

かつて、遅刻癖があったことは、なんとか克服して人には迷惑を掛けなくなったのですが、部屋の片づけはなかなか克服できず、自宅の部屋も、職場の机まわりも、なかなかキレイに出来ないでいます。

そもそもなぜ片付かないのか?

そもそも、なぜ部屋が片付かないのか、その原因を、自分の行動の中から思い当る部分はありますでしょうか?

私の場合はこうです。
①何か作業をやっていたときに、別のことが思い浮かんだり、別の仕事が舞い込んできたりすると、新しく入ってきたその情報に目移りしてしまい、いままでやっていた作業が終わっていないのにもかかわらずその作業に集中することができなくなる。『あれ、今まで何やっていたっけ?』という状態によくなります。

②無駄な買い物が多すぎるうえ、物を捨てることが苦手なので、机の上や床の上がモノでいっぱいになる。いっぱい乱雑に散らばったものを、片づけようと思っても、①の症状のため、すぐに別のことに取り掛かってしまい、終わらせることが出来ない。

③乱雑に散らかったものを見て、片づけようと思うのだけど、見るだけでうんざりしてそもそも片づけに取り掛かる気力がなかなか湧かない。

④片づけに時間がかかるので、細切れ時間に掃除をスケジュールとして組み込むことが出来ない。

 とはいえ、片づけにハマると、徹底的に片づけてしまうので、休日が部屋掃除のためにまるまる潰れてしまうことも時々あります。だいたい、3,4か月にいっぺんくらいですね。
掃除をして1週間くらいはキレイな状態を保っているのですが、そのあとまた乱雑になって、数か月放置して、また思い立ったときに丸一日掛けて片づける、という感じです。

 まさに、ADHDの「注意欠陥」「多動性」「衝動性」が悪い方向に働いてしまっている感じがします。

 つまりこういうことです。

 ADHDタイプの人の特徴のひとつは、まず「注意欠陥(不注意)」ですよね?

 シャンプーが切れそうなのに買っておくのを忘れたり、汚れた服をクリーニングに出すのを忘れたり、とにかく注意を持続させることが苦手です。その特徴自体が、片づけという行動に向いていない部分はあります。
 
 子どものADHDの場合は、子どもの頃から落ち着きがなかった、静かに遊べず、おしゃべりだったという「多動性(落ち着きのなさ)」が、よく特徴として挙げられます。

 大人になって体の多動はだいぶ目立たなくなったかもしれませんが、頭のなかはいつもいろいろなやりたいことにあふれていて、気持ちがどんどん動いてしまう。せっかち、気ぜわしい。退屈なことには耐えられない。いつも次の行動に気持ちが先走ってしまいます。

 たとえば、家のなかでカギが行方不明になるのは、玄関を開けたとたん、役目を終えたカギの存在が、頭のなかからきれいさっぱり消えてしまうから。そこらへんにカギをぽい、と置いた後、
「ああ、おなかがすいた。冷蔵庫に何かあったかな?」
「DVD、ちゃんと録画できているかな」
などと、すぐ別のことに意識が向いてしまう。なので、結局カギはそのままで、前もって決めていた置き場所に置かれることなく、行方不明になってしまうのです。

 この次から次へと注意の対象が変わっていく傾向は、ADHDタイプのもつもうひとつの特徴の「衝動性」とも関係します。

 思いついたら即行動してしまう、目の前のものにすぐに気をとられてしまう、気分のままに行動しやすい、など衝動性の高い人は、待つのが苦手。すぐやりたい気持ちに振り回されます。

 思いついたら、即行動!この反応の早さが「注意欠陥(不注意)」「多動性」要素とま
ぜこぜになって、からまって、気づけば、部屋も仕事も時間の流れもゴチャゴチャになってしまうことが多いのです。

 なぜか部屋が散らかってしまうのも、注意の持続力不足と多動性のなせるわざ。次から次へと「あっ、あれやろう」「これ、おもしろそう」と注意を向ける対象がクルクル変わっていくので、さっきまで手にしていたものは、記憶から消去されてその場に置き去りになってしまう。こうして、あらぬ場所にあらぬモノが落ちているという珍現象が起こってしまうのです。

 同じような現象で、タンスの引き出しや開き戸を開けっ放し、ということもよくやってしまいます。

 また、子どものころから、社交性がない人間になってしまっている大きな原因になってますね。片づけられないので、恥ずかしくて部屋に人を呼べなくて、彼女どころか親しい友達もなかなかできないし、外で知り合いになった人は結構多いけど、いつも一緒に遊ぶ友達は非常に少なかった、というのがこれまでの私の対人関係の傾向です。

一番初めにやるべきことは、「捨てる」ことでは?

 こういう私でも、片づけること自体がうまくいった、という成功体験?は持っています。
前述したように、数か月に一回の、「片づけにハマった状態(一種のフロー状態[流れに乗った状態]、って言ってよいと思います)」ですが、考えてみれば、その状態になったときには、ある種のパターンがあります。

「いらない紙や物を捨て始めたとき」に、たいていはその「フロー状態」に乗っているんだと思うんです。

 私の部屋の場合、乱雑になっている一番の原因は、紙類です。紙をいらないものといるものに分別して、すてていくと、だんだん部屋のものが減って行って、すっきりしてくるケースが多いです。そうなるとなんだか最後までやり遂げたくなって来て、作業にハマります。

 だから思うのです。片づけする時に、最初にやるべきことは、分別まで含めて「捨てる」事なんじゃないだろうか、と。


「断捨離」という本がはやったことがあって、私も読みましたが、その内容を1行で言えば、「不要なモノを断ち、不要なモノを捨て、モノからの執着から離れる」ということのようです。確かにおっしゃる通りで、ものに執着しないでどんどん捨てていけば、かなりスッキリします。

 だけど、なかなかその「執着を捨てる」のが難しいのは、私だけでしょうか?

 私の部屋の紙を捨てられない理由として、たまりにたまったレシート、クレジットカードの明細、郵送されてきたダイレクトメールや支払済みの請求書、暗証番号などの通知書、役立ちそうなチラシや雑誌、PCで作成して印刷し手書きで書き込みをした資料、人からもらった名刺など、いろんな紙があります。

 レシートは、「せっかく家計簿ソフトがあるんだから、あとでまとめて家計簿に付けるかもしれない」と思って捨てられないし、チラシや雑誌も、「あとで仕事の資料やブログのネタとして使えるかもしれない」と思って捨てにくいし、手書きでメモを追記した印刷物も、「資料を作った時のことが後で思い出せなくなるかも知れないので、参考資料として取って置いたほうがいいかも」と思ってしまって捨てられない。

 実際は、ほとんどのものが後から使うことはないんです。だけど確かにごく稀に、それが無くて困るものって、確実にあるんです。ただ、それが本当に必要なのか、必要ではないのかが、前もって分別できないので、困るんですよね。

 結局それが溜まりすぎてしまって、後から使うかも、と思いつつ、えいやっ、と捨てる決断をするのに、数か月が掛かってしまうんです。

最近試している、「紙を捨てられない」解決法・・・Scansnapの活用

そこで、私が最近試している、紙を捨てられない症状の解決法があります。

富士通から発売されている、「ScanSnap IX500」を使って、紙を捨てる前に一応はスキャンしてPDFとしてデジタルで保存しておくようにしているんです。

 

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PCにデジタルデータとして保存しておけば、紙で必要なときには印刷できるし、安心して捨てることができます。原本の紙で必要なのは、印鑑を押した契約書類だけだろうから、
それ以外のものはほとんど内容も見ずに機械的に処理していけます。

大量の紙がある場合、いちいち目視でチェックしていくと大変ですが、デジタルデータなら必要な時だけチェックすればいいです。(といっても、PDFのデータは、ちゃんと名前を付けて保存して、名前だけで何の紙なのかは分かるようにしておきますが。)

数年前から流行していますが、紙の本を裁断して一気にスキャンして、PDFにできるスキャナがあります。本を電子書籍化するこの行為を、通称「自炊」って言いますが、それができるスキャナのことです。


なんだかよくわからない明細とか、公共機関から送られてくる書類もすべてスキャンして、一つのダンボール箱にぽい、するようにしています。で、あとからどうしても紙で必要なものが出てきたらそれだけ残す、という方針にして、いっぱいになったら捨てちゃいます。(今のところ、どうしても紙で必要なもの、ってなかったですけど。ちなみに、購入して3か月ほどです。)

このスキャナ、名刺整理用のソフトとかもついていて、名刺の整理にも便利です。名刺も全部PDF化して、基本はすべて紙廃棄用の段ボール箱行きです。

この方法で問題となるのは、PCのスペックによっては、スキャン用のソフトの動作が遅くて時間がかかったりするケースもあること。でも、実際に紙を仕訳したりする手間を考えると、はるかに簡単だよな、と個人的には思います。

ScanSnapは、アマゾンで買いましたが、私が買ったときは43,000円くらいでした。ほかに、自炊のために本の裁断用の裁断機も購入しましたので、必要なものを買いそろえるのに、トータルで5万円くらい。最近の買い物の中では、良い買い物だったなあ、と思います。


ただ、これで私の部屋の乱雑な書類や紙をすべて片付けることが出来ているわけではありません。

レシート類やクレジットカード決済時の明細は、なかなか片付きません。

なぜなら、店によってサイズが違うし、紙質がやわらかくてサイズが小さいので、ScanSnap IX500の読み込み口(フィーダーというらしい)にセットできないから。

でも、今は、こういうものも複数一気にスキャンできる機種も出てきているらしい。ScanSnap SV600って機種です。自炊する時に、本を裁断しなければならないIX500と比べ、本を裁断しないでPDF化することもできますが、見開き1ページずつスキャンしないといけないので、本の自炊には結構手間がかかりそうです。よって、使うのは本当にレシート類などや、どうしても書籍として持っていたい本をスキャンする場合だけになりそう。値段は、ScanSnap IX500の価格プラス1万円くらいが相場みたいです。

私は、これを購入する必要があるのか、検討中です。出来れば買いたいのですが、費用対効果として、5万円を超える商品をさらに買う必要があるのかどうか、また、置くスペースとかも考えて、かえって部屋が散らかることにならないかどうか、もっとよく考えないといけないですね。(ADHDらしく、割と衝動的にものを買いがちですが、ものを買いたくなった時は必ず一晩おいて、翌日以降に結論を出すようにしているので、衝動的に買わなくなってきているのは少し成長したかな、と勝手に思ってます。)

現時点では、とりあえず、文房具屋さんで買ってきた「領収書ファイル」に、購入した月別に無造作に突っ込んでやり過ごしています。

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私自身もまだまだ整理整頓は苦手ですが、このやり方がうまくいく人もいるかも知れません。お役にたてればいいんですけどね。

ADHDの時間管理を考える

もし、自分のADHD症状をチェックしてみて、「時間にルーズなところが直せない!」「いつも遅刻してばっかりだ!」ということに困っているのだ、ということがはっきりわかったとしましょう。困っているのだから、それがあなたが優先的に改善すべき問題なので、後回しにしないで解決してしまいましょう。

遅刻して迷惑をかけた人たちの顔が頭に浮かんで、つい自分を責めてしまいがちですが、自分を責めるのではなく、前向きにとらえましょう。
「問題を自覚していることが改善への第一歩なんだ」と。

 ADHDの特性に時間の見積りが苦手、時間の感覚が弱いということがあります。
そのためについ、時間に遅れたり、締切に間に合わなかったりするのです。その弱点をカバーするために、時間の感覚をトレーニングしましょう。

よく行う行動に掛かる時間を計測する

たとえば、外出しようと思ってから外出するまでに自分がどのくらい時間をかけているか把握していますか?そう聞かれたら、どう答えますか?

 私も含めてたいていの人が、あいまいにしか把握していません。たとえば、
 「5分くらいかな?」「10分くらいかな?」とか。 
 しかし、5分前くらいから出かける準備を始めている人が、実際に掛かる時間をストップウォッチで計って検証してみると、実際には20分とかかかっているケースがよくあるだろうことは、想像に難くないと思います。

 実際に計るより、出かける前にすることと、それぞれに必要な時間をリストにして
みたほうが、実践的かもしれません。ADHDにありがちな、ものが見つからない、というトラブルをはじめから加味して計算することができますので。(もちろん、面倒な場合は実際に測ってみてもいいですよ。)

着替えに3分、
カバンにケータイと財布を入れて1分、
(携帯が見つからなくて、うろうろしている時間10分orz)
髪を直してひげを剃って5分、
電気を消して靴をはいて鍵をかけるのに1分、
トイレに入って5分、
トーストと牛乳の軽い食事を、準備して食べるのに15分、
計40分もかかります、とか。


ADHDの人に起こりがちな、探し物が見つからなくて探している時間もちゃんと加味して、外出準備を始める時間を決めたら、事前準備の時間に想像以上の時間がかかる、ってことが分かると思います。こういうことをしっかり考えていなかったから遅刻していたんだ、と考えて、これからはちゃんと計測した時間以上早めに準備を始めればいいのです。

どれくらい早めに準備をすればいいのか分かったら、スマホや携帯に登録して、時間が来たらアラームが鳴るようにするなどの工夫をすればいいと思います。携帯のアラームは、たまに目覚ましとかで使う程度の人が多いと思いますが、ADHDの人は、使い倒すくらい使う!くらいの気持ちでいいと思います。予定が決まったらすぐにアラームを設定するようにすると良いのですがそのときになるべく細かく行動を設定すると集中して準備しやすいみたいです。 具体的には予定の集合時間だけではなく家を出る時刻や外出の準備を開始する時刻なども設定するんです。できるだけ、シャワーを浴びる時刻、着替えをする時刻まで設定しておくようにすると、なお良いです。そうしないと、準備をしている間に他のことに気を取られてしまうことがあるためです。例えば出かけるまえに、散らかった部屋が気になって片づけを始めてしまい、片づけ終わって疲れたらつい休憩してしまって、時間が経ってから「そうだ、出かける用事を忘れるところだった!」となってしまう、とか。
 
 私も毎日できているわけではないのですが、休日の土日にはわりとアラームの登録をしているお蔭で、月曜日は誰よりも早く出社できるようになっています。

行動をパッケージ化する

外出の準備をしているうちに気が散りやすいという人の場合、行動をパッケージにする
という方法もあります。毎日の出勤のように頻繁に同じ行動をする場合は、その準備を
ひとまとめにして、to do リストを作っておくのです
 たとえば毎朝、起きてから朝食を食べ、身じたくをして、持ち物をまとめ、戸締りをするなど同じことをする場合はその一連の行動をセットにして、いつも同じ順番で行うようにします。そして、その行動が終わるまでは他のことをしないと決めて、習慣づけするんです。慣れるまではリストを作って順番を確認しながら確実に実行していきましょう。
必要な時間も測り、繰り返して体に覚えさせるようにします。これは、単に頭の中で決めたことだと忘れてしまうので、スマホevernoteアプリやリマインダーアプリなどで記録しておきます。朝、なかなか頭が働かない、ついついぼーっとしてしまうという人に向いている場合があります。

「間に合わない!」のパターンを知る

 時間が足りなくなってしまうことが多いのなら、自分に「いつも、どのように時間が足りなくなっているんだろう?」と、質問してみてください。

手をつけるのが遅すぎるのでしょうか?
予定を忘れてしまうのでしょうか?
時間や場所を間違えるのでしょうか?
支度に時間がかかるのでしょうか?
集中できず気が散るのでしょうか?

 ひとくちに「間に合わない」といっても、人それぞれいろいろなパターンがあります。複数該当する人も多いでしょうから、自分のパターンを分析してみるのがいいと思います。
(ちなみに、私の場合は、上記のほぼ全てが均等に当てはまります。すべての対策が必要、ということですね)

 まずは予定、日時と場所、持ち物を忘れないように記録することが大切です。
 記録に手帳を使うのであれば、すべての予定は一冊に集約させ、毎日確認する習慣と組み合わせることが必要です。あっちこつちに分けて書いたり、たまにしか見ない手帳では不十分です。スマホのアラーム機能を使ったり、書き出して貼っておくのも、記録した予定を後で忘れないようにするためです。

 準備や課題を、より細かいいくつかの工程に分け、それぞれに期限を設けます。たとえば企画書を作るという作業であれば、●日(もしくは●時)までに資料を読む、○日(もしくは〇時)までに費用を算出する、△日(△時)までに企画書を書くといった具合です。それぞれに遅れがないか確かめましょう。

 期限があるタスクをやるときは、時間は常に余裕を見るようにしましょう。たとえば10日間必要な課題であれば20日間、そのための時間をとってみて、早めに着手するようにしてみましょう。

 人との待ち合わせも余裕を持って行動することが肝心です。待つのは嫌いでしょうが、早めに着いて現地でできることを考えてください。慌てて飛び出していくのが常では、不測のトラブルに対処できません。忘れ物や、身だしなみの乱れ、転倒や交通事故なども心配です。

 また、繰り返しになりますが、外出の用意を始めてから、何分後に自分が実際に出発できるか把握していますか?実際に必要な時間にプラスして、持ち物を再点検する時間、電車に乗る前に行き先をよく確かめる時間、到着してから一度トイレにいくことのできる時間、残高不足のICカードに現金をチャージできる時間など、余裕は必要なのです。
過去の経験を思い出しながら作戦をたててみてください。

「間に合わない!」を克服するには、

  1. 予定を記録して、確認できるようにする
  2. 準備や課題は小分けにして進捗管理
  3. 時間には余裕を持つ

の3つが大切ではないでしょうか。

 

待つのが嫌でも、スキマ時間に詰め込みすぎない

ADHDの人は、だいたい待つことが苦手です。
なかなか来ないバス、開かずの踏切、病院の診察待ち・・・。まだ?いつまで待たせるの?みんなうんざり顔です。そんななかでも、ADHDタイプのあなたは、他の誰よりもひときわイライラ、ジリジリしていませんか?

心の時計が独特の時を刻んでいるので、拷問にかけられていると感じるほどに、この時間が長く感じられるのです。
待つのが苦手だから、いつもギリギリの行動をしてしまう、という人も多いようです。
ちょっとでも時間にスキマがあくと、部屋にモノを詰め込むように、時間のスキマにも他の用事を詰め込みたくなります。
「ついでに今度の旅行の切符をとっておくか」なんて。
それが遅刻の原因になるケースもあるので、待つのが嫌でも、スキマ時間に詰め込み過ぎないようにして、スケジュールに余裕を持つことが肝心です。遅刻や「間に合わない!」が起きてしまうと、そんなスキマ時間の何十倍もの時間を無駄にしてしまう事になるのですから。ギリギリパターンを抜け出して、余裕をもちましょう。

 移動時間の見積もりが苦手なら、出かける時は、必ず前日にパソコンや携帯電話で交通機関の乗り換え検索をして、何時に家を出たらいいか調べます。
ただし、その場合の到着時間は、約束の時間の最低でも10分前、できれば30分前ぐらいに設定したほうがいいです。(私は大切な用事のときは、1時間前に到着するように心がけています。早く付いたら、本を読む時間に使います。)

 時間がもったいない、とは考えないほうがいいです。ギリギリ時間で、いつもあわてているほうが、よっぽど時間のムダ遣いです。
 余裕をもっと、自動車や電車に乗っても風景を楽しむことができますし、あわててヘンなミスをしてしまうこともなくなります。今まで「できない」と思い込んでいたことも、平静な心で向かえばできるようになるはずです。その結果、自分に自信がもてるようになるので、いつも笑顔でいられます。

あわてたりイライラした時は、立ち止まって深呼吸してください。
ここで焦って走っても、途中でつまずいて転んだら結果は同じ。いったん心を落ち着かせてから、ゆっくり歩いていけばいいのです。走り回って息も絶え絶え髪は乱れ、女性ならお化粧は汗でぐずぐず。誰と会ってもも「遅れてすみません」とペコペコあやまらなくてはいけない状況より、よほどいいと思いませんか?


手帳のスケジュールとマイルールで予定を整理


時間を逆算することができない、時間の見積もりが甘い、行き当たりばったりで行動しがち・・・。そんな困ったクセや行動を改善するには、スケジュールを作るのが一番です。スケジュール管理には、スマホよりはいろんな情報を書き込みやすい手帳がいいと思います。時々きちんと時間をとって、手帳を利用したスケジュール管理を、机に向かってやりましょう。
まずお気に入りの手帳を1冊買って、まず、起きる時間、寝る時間、食事の時間などの1日の基本的なタイムテーブルを決めて書き込みます。
「小学生じゃあるまいし、そんなことまで決めるべき?いやだわそんなん!」と思うかもしれません。でも、ADHDの方には、これが必要なんです。
ADHDタイプは穫物を狙うハンタ-さながら、目の前に関心事があるとそれ一筋につっぱしりがちです。
夜、好きな本を読んだり、DVDを観たりするうちに、気がついたら朝だった……なんていうこともよくあるはず。
あえて基本のスケジュールを決めて、自分で自分にリマインドしないと、ゴチャゴチャ時間はいつまでたっても片づきません。
次に、「午前8時~メールチェック」「午後8時~5分間片づけ」「午後9時~ストレッチ」など、毎日やると決めた「マイルール」を書き込んでください。
ただし、「マイルール」は頑張って詰め込みすぎないこと。
「やるべきこと」ばかりじゃなく、ティータイム、プチ瞑想などリラックスのための時間も意識して「マイルール」に組み込んでください。

 

スケジュールは毎日確認


また、手帳には約束や用事ができた時はできるだけすぐにその場で書き込みましょう。それが難しいなら、スマホにメモして、スケジュール見直しの時間にかならず手帳に転記しましょう。
適当な紙切れにメモするのは、モノをなくす名人のADHDの人にとっては失敗のもと。
同窓会の案内ハガキやイベント情報が届いた時も手帳に転記しておきましょう。美容院や歯医者の予約なども忘れがちなので、必ず書き入れてください。
毎日のスケジュール以外に、「今日やること」や「今週やること」などのリストを書いておくのもおすすめです。
さて、大切なのはスケジュールを書いたら必ず確認することです。
常にスケジュール帳を見るクセをつけてください。
家でも1回、会社でも1回と、時間を決めてチェックすることを「マイルール」のひとつにしてもいいですね。

 

まとめ

私なりに時間管理のコツをまとめると、

  1. 行動の一つ一つの所要時間を見積もる
  2. 「最短時間で片づける」と思わない
  3. 一つ一つをパソコンや携帯電話できちんと検索
  4. 到着時刻は30分前に設定
  5. あわてるほうが時間のムダと心得る
  6. 「あまり時間」を楽しむ
  7. 「スキマ時間」に予定を詰め込まない
  8. ついあわててしまったら、深呼吸
  9. 一つの手帳にまとめる
  10. スマホのアプリやアラームを活用

ということになります。これを積み重ねると、きっと、「遅れない」自分に自信が持てるようになってくるのではないでしょうか。

とはいえ、私も全部できてるわけではありません。まだまだ未熟ですが。。。ADHD症状を持つ皆さん、いっしょにがんばって、時間管理できるようになっていきましょう。

ADHDの症状をコントロールすることを考える

どの症状に一番困っているのか?

自分のADHDの症状をきちんと把握することが大事だ、という趣旨のことを前の記事で書きましたが、その際、『どの症状に一番困っているのか』を明確につかんで、困っていることから優先順位をつけて対策を練っていくことが、ADHDの症状をコントロールするうえで有効のようです。

以下に、ADHDの典型的な症状例を挙げていますので、それぞれに、最大に困っているのを10点として、10点満点で何点か、スコ アを付けてみると、何を最優先して対策を取って行けばいいのかが分かります。

ADHDの典型的な症状例)

  • 落ち着きがなく、じっとしていられない。
  • よく急に動いたり、立ち止まったりする。
  • 絶えず貧乏ゆすりをしたり、手に持ったものを動かしたりしている。
  • いつもガムをかんだり、飴をなめたりしている。
  • 飽きっぽい。
  • 計画的な行動は苦手で、思いつきで行動しがち。
  • 要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。
  • なにかをしている途中で他のことに気を取られて集中できない。
  • 話をよく聞いていない。
  • 話を理解していない。
  • 同時にいくつものことを言われるとパニックになる。
  • 同じことを何度も注意される。
  • 時間をよく間違える。
  • 頻繁に時間に遅れる。
  • 遅刻しないように準備していても、別のことが気になり、気づいたときには時間が過ぎていることがよくある。
  • 朝なかなか起きられない。
  • 組織の一員として高い精度が要求される(事務など)仕事をこなすことは難しい。
  • チームワークは苦手。
  • 創造性を重視する仕事では能力を発揮できるが、決まったことを正しくこなす仕事だと評価が低い。
  • スイッチが入ると急に怒りだし、暴言を吐いたりしてしまう。
  • どこでも不機嫌そうにしたり、怒ったりして感情のコントロールができない。
  • 怒りによって家庭やものを壊したことがある。
  • うっかり不謹慎なことや失礼なことを、口に出して言ってしまう。
  • いつの間にか、相手を怒らせてしまう。
  • 買い物、タバコ、お酒、ギャンブル、インターネット、恋愛などに依存しやすい。
  • 忘れ物などが気になり、何度も確認しないと落ち着かない。
  • 自分に自信がない。
  • 人を信じやすく、よく騙される。
  • カードローンや、電気、水道、ガスの支払い期限を忘れてしまい滞納することがある。
  • 人の話を遮って話しはじめたりする。
  • 後先考えずに行動してしまうことがある。
  • ものを置き忘れる。
  • ものをなくす。
  • 買ったり、もらったりしたものを忘れてしまう。
  • 片づけが苦手。
  • しなければいけないことがあってもなかなか行動に移せない。

(引用文献:大人のADHDコントロールガイド)

 私もやってみましたが、『要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。』『同じことを何度も注意される。』『 ものをなくす。』『片づけが苦手。』に10点を付けました。

 

ADHDの衝動を3つに分類

 ADHDは、大きく分けると、「多動性」と、「衝動性」、「注意欠如」という3つに分けられます。また、この3つには分類し にくい特性もいくつかあります。過去にも説明したかもしれませんが、それぞれがどういうものか、おさらいしますね。

多動性・・・多動性とは動き回ったり、じっとしていられない特性です。たとえば、そわそわ落ち着かない気がしたり、貧乏ゆ すりのような動作をしていることもよくあります。じっと座っていたり、待つことが苦手です。

衝動性・・・衝動性は、衝動的な言動をしてしまうことですが、思ったことをすぐに口にしてしまうために失言が多かったり、 ひとの話をさえぎって話してしまったり、目についたものを後先考えずに買ってしまう衝動買いや、勢いで大胆な行動をしてし まうこともあります。また、熱しやすく、冷めやすい特徴がみられます。衝動的に動いてしまうので、計画的な行動も苦手です 。

注意欠如・・・注意欠如は、集中力が続かなかったり、すぐに注意が逸れてしまう特性です。誰でも多少はミスをしますが、 ADHDの人はかなり頻繁にミスをします。仕事などで不注意なミスを連発したり、忘れ物、無くし物が多いです。遅刻をしたり、 期限に間に合わないこともあります。また、約束自体を忘れていることもあります。そのほか、人の話してることが理解できな かったり、作業の手順や段取りをイメージできなかったりします。また、デスクや部屋が散らかりがちで片づけが苦手な特性も あります。

その他・・・そのほか、ADHDの人に現れやすい特徴に、興味のないことにやる気が出ない、というものがあります。やらないと いけないと分かっているものでも、なかなか手が付けられないのです。朝、起きられないというのもADHDの人によく見られます 。不安感が強く、例えば特に心配されるような医学的所見が無くても、自分は病気ではないか、病気になるのではないか、という不安にさいなまれたり、自信の今までの経験から、「また失敗するのではないか?」「他人から軽蔑されているのではないか ?」という不安感を抱いている人もいます。不安感から抑うつになったり、確認行為がやめられないというケースもあります。

 

 症状のスコアと分類から、診断に役立てたり、対策を考えよう

 スコア付けした自分の症状を見て、あらためて「自分のADHDのタイプがどういうタイプなのか」を考えてみると、診断のときに、医師や臨床心理士の先生方に、自分の症状を説明しやすくなりますし、それに応じた対策を考えていくこともできると思いますので、分類してみるといいと思います。

 例えば、先に書いたように、私の場合、要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。』『同じことを何度も注意される。』『ものをなくす。』『片づけが苦手。』に10点を付けたのですが、これらは主に注意欠如の特性です。ADHDに関する本を読んだり、対策を立てていくうえでも、「注意欠如をカバーするためにはどうしたらいいのか」と考えて本を読んでいったり、対策を立てて行けばいいわけです。

 

 とはいえ、対策を考えても、そう簡単にはうまく対処できるようにならないと思います。

 でも、それが当たり前で、長い時間をかけてできることから徐々に改善していくんだ、これを一生続けるんだ、という気持ちでやっていくのが一番だと思います。

 続けていたら、気が付いたら過去の自分では想像もできなかったような場所まで進んでいるものです。

 

ADHDの症状をコントロールするって、どういうことだろう?


 この記事のタイトルには、「ADHDの症状をコントロールすることを考える」というお題を付けていますが、そもそも、ADHDの症状をコントロールするとは、どういうことを指しているのでしょうか?

 

 私の場合ですが、過去の記事でも書いているのですが、まとめると、「ウツや依存症などの二次障害に陥らないように予防することと、トラブルや失敗をできるだけ回避して、仕事や日常生活に支障が出ないようにしていくこと」ということになると思います。できれば、「快適に楽しんで仕事や日常生活を送れるようになる」のがベストなのですが、そこまで絶好調の状態になるのは、自分の意識で調整してやるのはなかなか難しいです。


 絶好調の状態で仕事に没頭できることがあるのもADHD脳の特徴の一つだとは思うのですが、気分にムラがあるので、どうしたらいい、という、誰にでも通じる方法は無いと思います。個人個人で調整していくか、専門家に相談するしかないのではないでしょうか。しかし、絶好調に持っていくための専門家って・・・こういうのは、セラピストさんの仕事になってくるんですかね?「私はこうしたら絶好調で仕事に臨めるよー」という方法を持ってる人がいらしたら、ぜひコメントで教えてください<(_ _)>

 

トラブルや失敗を避けるために「決定的瞬間」に気を付ける

 

 ADHDを扱った書籍にたまに書かれていることですが、失敗を繰り返し起こす人の場合、ほとんどの場合、失敗が起こる少し前に、失敗が起こるかどうかを決定する分岐点があると思います。

 遅刻をしてしまう人は、待ち合わせ時刻を決めたときに電車の乗り換え情報を確認しなかった瞬間や、出かけるべき時刻の数分前に立ち話を始めた瞬間が、その「決定的瞬間」です。

 部屋が散らかる人は、部屋に持ち帰ったチラシやDMをゴミ箱に捨てないでテーブルの上に置いた瞬間や、使ったドライヤーや爪切りなどの道具を元の場所にしまわなかった瞬間、ゴミを収集に出せるように前日に玄関に置かなかった瞬間も「決定的瞬間」です。

 つまり、あとで「あのときああしていれば」と思えるような瞬間が、分岐点と言える「決定的瞬間」なのだと思います。その決定的瞬間をコントロールすることがトラブルを減らし生活を改善することにつながります。

 この考えを知ってからは、私も「決定的瞬間」を意識して、生活するようになりました。私も含めADHDの人は場当たり的に行動しがちです。そういう人がいい習慣を身につけたり、危機に備えたり、見通しを立てたり、余裕を持った行動をしたりするのは、結構大変なことです。

 常になんだかいろんな考えやアイデアが入れ替わり立ち代わり頭の中を支配していくので、それに気をとらわれて「決定的瞬間」に気づかずにスルーしてしまうことが多いからです。未来のことが想像できなかったり、想像しようと思わないことが多いので、前もって「決定的瞬間」に備え、準備することを心がけましょう。

 たまに「決定的瞬間」に気づいて、ちゃんと備えることが出来たときには、自分を誉めてあげて、その習慣を長続きさせるようにしていくようにするとよいと思います。

 「決定的瞬間」があるということを知らないで、無意識に行動するのは失敗のリスクを高めます。ADHDの人は、ワーキングメモリの働きが悪い(もしくは常にワーキングメモリをいろんな考えでいっぱいいっぱいにしている)ので、いろんなことを忘れがちです。ですが、しっかり意識して記憶を定着させようとすると、長期記憶は悪くない場合が多いのです(高学歴のADHDも少なくないのは、そのためだと思います)。

 「決定的瞬間」を意識することで、失敗を予測して、先回りして行動することや、意識して記憶にとどめるようにすることがしやすくなります。また、メモやふせん、スマホなどの道具を駆使して、「決定的瞬間」を逃さない仕組みづくりをすることも大切だと思います。

 

ADHDのコントロールを続けるコツ

 ADHDの症状をコントロールすることは、そもそもとても難しいことだと思います。だから、全てを完璧にやろうとすると、挫折感が強くて、諦めてしまうことが多いかもしれないです。しかし、「うまくいかないのが当たり前だ、できる事を少しずつやっていって、うまくいったら自分を誉めよう。そして、一生続けよう」という気持ちでやれば、いい意味での開き直りができ、続けられるような気がします。

 それに、ADHDの特性のあらわれ方が人によって異なるように、生活している環境や、立場も異なります。他の人ではうまくいった方法が、必ずしもご自身の暮らしにマッチするわけではないでしょうから、自分なりの良い方法を探し、確立していくのが大切なのではないでしょうか。困っていること(困っていなければ直す必要はないです)を直し、得意なこと、できることを活かし、物事がうまくいくときの状況を把握し、周囲に協力を得られそうなことは協力してもらう、等々、色々なことを総合的に考えて、「自分でもできる」と思う具体的な方法を考えるしか、方法は無いのだと思います。

 完璧である必要はないです。そもそも完璧は無理です。でも、落ち着いた、豊かな人生を取り戻すためには、ADHDの症状をコントロールすることに取り組むことが必要なのだから、ただできる事に淡々と取組み、多少失敗しても自分を責めないのが大切なんでしょうね。

 周囲の人が無理解だったり、「怠けている」などのレッテル貼りがひどい場合、周囲の人に色々言われたりすることもあるかも知れませんが、その場合も自分の考えを最優先する強さは必要なのかもしれません。(周囲に迷惑をかけても良いということではなくて、迷惑を掛けないように努力することは大前提なので、誤解なさらないようにお願いいたします。ADHDだから、周囲は協力するのは当然、という考えが正しいわけはないのですから。)

自分のADHDの症状をみつめよう

ADHDのあらわれ方はさまざま

 

 ADHDの症状はあらわれ方が人によってまったく異なります。

 子どもの頃に多動が強くあらわれていると、学校の授業を着席して聞くことができないなどトラブルが起こりがちなので、早くにADHDが発見される傾向があります。しかし、その他の場合であまり目立ったトラブルを起こすことがないと、多少困ったことがあっても「子どもだから仕方がない」と思われたり、単に「だらしない子」などと考えられがちで、本人も周囲も気がつかないまま大人になることが多いのです。言わば「かくれADHD」です。ADHDの症状への対処法を知らないまま、親元から自立したり、就職したり、結婚したりして、仕事や家のことがこなせず、行き詰まってしまうのです。

 また、少し前までは教育や小児医療の現場でもADHDについての理解が広まっていなかったことも、今の大人がADHDを見過ごされてきたことの一因です。

 ADHDは人によって、症状や特性のあらわれ方が多様で異なります。子どもの頃の症状のあらわれ方もさまざまです。

 この、『人によってあらわれ方が多様なこと』がADHDの発見を遅らせている原因にもなっているようです。そこでこの記事では、ADHDの症状について書いてみようと思います。典型的なパターンの紹介と、私自身の症状も紹介していこうと思います。

 

 

子供のADHDの典型的なあらわれかた
  1. 腕白なトラブルメーカー・・・子供のころから、わんぱくでトラブルメーカーでした。自分では悪気はないんだけれども、いろんな物を壊してしまったり、高い所から飛び降りてみたり、学校の授業中に教室を飛び出したり、集団行動も大嫌いで、ジッとしているのがとにかく苦手でした。他の子供とのけんかもしょっちゅうでした。大人になって、なんとか落ち着いてきたかな、と思います。
  2. おとなしく空想好き・・・おとなしく空想好きな子供で、手のかからないおとなしい子だと思われていました。ただ、何かに夢中になると周りのことに意識が向かず、声を掛けられても耳に入らなくなって、親の『ごはんだよ』とか『お風呂に入りなさい』という声も聞こえず自分の世界に没頭したり、授業中に妄想にふけってしまい話を聞いていなくて怒られることもよくありました。遅刻や忘れ物も多く、教科書を忘れてよく隣の子に見せてもらっていました。
  3. 天然、不思議ちゃん・・・子供のころから、友達は多かったのですが、人が何を言っているのか理解するのが苦手で、とぼけた反応を返してしまうことが多かったらしいです。自分では真面目なことを言っているつもりなのに、みんなに笑われてしまうので真面目なことを言うのは止めました。そのほうが平穏で、不安にならなくて済むし。でも、私ってバカなのかな?
  4. 自分がうまくコントロールできず、暴走気味・・・新しいものが好きで、ハマるとのめり込んでしまうタイプです。でも、飽きっぽい所もあります。たとえば新しいゲームにハマると、寝食を忘れて没頭してしまいます。また、夢中になるとまわりが見えなくなってしまいます。人の話をさえぎって一方的にしゃべってしまうことも多く、話題もどんどん変わって脱線しがち。そのため、気が付くとまわりの子がひいていることもありました。『またやっちゃった・・・』と後悔することもありましたが、そういうところが面白い、と言ってくれるお友達もいました。

 私の場合は、『おとなしく空想好き』に当てはまると思います。今でも何かに夢中になって、まわりの声が聞こえないで没頭してしまうことはよく有りますし、小学校のころに『忘れ物も多く、教科書を忘れてよく隣の子に見せてもらっていました』からね。しかし、集団行動はできますが苦手ですし、相手の言うことに対して場違いな反応をしてしまって恥ずかしい思いをすることもよくありますし、新し物好きで飽きっぽい(というより、興味の範囲を広げ過ぎて以前興味を持ったものに対応できなくなる)所もありますし、以前、麻雀にハマっていたときは数十時間寝食を忘れて麻雀を打ちっぱなし、ということもよくありました。(大人になってからの症状ですが。とはいえ、子どものころからこういう傾向はありました。)

特定のタイプに分類できる、というものではなく、おそらくどの症状も原因となる脳の働きは同じなんだろうな、と思います。


大人になったらどういう症状になるか?

多動は、9歳のころをピークに、大人になってくると収まってくることが多いと言われているのですが、大人になっても多動の傾向が残る人も珍しくありません。というより、何らかの形でその痕跡は残ることの方が多いのではないでしょうか?

大人のADHDの多動傾向の現れ方を見てみると、以下のような形で現れることが多いです。(中には、多動とひとくくりにしてもよいのかと思われる症状もありますが、ご容赦ください)

  1. 落ち着きがない・・・症状としては、貧乏ゆすりや爪を噛む、手に持ったものをいじる、落ち着きなく体を動かすなどのくせがある、動きが不器用で、よくものにぶつかったり転んだりする、ドアをバタンと音を立てて締めたり、食べ物や飲み物を容器からこぼしたり、皿やコップを割ったりなど、非常に雑な動きをする、等の現れ方があります。人によってさまざまな現れ方があるので、ご自身の事をよく観察してみると新たな現れ方のパターンが分かるかもしれません。
  2. 待てない・・・乗り物に乗ったり、映画やコンサートなどを座って観たりすることが苦手、行列に並んだり、待たされたりするのも苦痛、静かにしていなくてはいけない場面で、おしゃべりをがまんするのがつらいという人もいます。
  3. 話を聞かない、理解できない・・・・・・ADHDの傾向がある人には、人の話を理解できなくて困っている人がいます。
    原因として、話を聞いている間にも、他のことに気を取られて集中できないということが考えられます。また、せっかちなため人の話が終わるまで待てず、途中までしか話を聞いていないという場合もあります。また、相手が何を意図して話しているかイメージするのが苦手なために、話が理解できない場合もあります。皮肉や冗談も通じません。とくに複雑なことや、まわりくどい話は苦手です。相手の本心が読めず、だまされやすい人もいます。聞いた内容を覚えていることも不得意です。部分的に忘れてしまうだけではなく、話をしたことさえ忘れてしまうこともあります。どんな状況で、どんなことを理解しづらいか、今までの経験から考えてみましょう。理解を助ける方法も一通りではなく、本や図など目で見たことの方が理解しやすい視覚優位タイプと、話してもらった方が理解しやすい聴覚優位タイプに分かれます。落ちつきのなさから話に集中できない場合は、じっとしているとかえって気が散ってしまい、落書きをしたり、髪の毛をいじったりした方が会話に集中できることもあります。
  4. 感覚が敏感・・・急な物音や話し声などに敏感に反応したりするなど、感覚に繊細なところもある。洋服の肌触りや、食べ物の味や感触、匂い、まぶしさなどが気になってしまうという面がある人もいます。これらは脳の中の前頭前野で行われる不要な情報を排除する働きが弱いためと考えられています。

 私の場合は、1.の症状としては、爪を噛む癖(だいぶマシになってきましたが・・・)は残ってますし、職場では気を遣っているつもりでも、ついドアをバタンと雑に閉めてしまったりして怒られたりします。また、待つのはできますが嫌いですし、相手の話し方によりますが、人の話を聞いて理解できなくて仕事に支障を来たすケースも結構あります。(相手の話し方によりますので、必ずしも理解力に問題があるとは思ってないのですが・・・特に、主語、述語を略して話してくる人の言うことは理解できないことが多いです。前後の話で分かるだろう、と言われても、分からない場合が多いのです。でも、ちゃんと略さずに話してくれれば、かなり難解な内容でも理解できます。)


 

『メモ魔』になって自分の症状にあった対策を確立していく

 典型的なADHDの賞状のパターンをご紹介しましたが、あなた自身に当てはまることもあって、『ある、ある!』となっている人も多いのではないでしょうか。

 私自身の経験から言うと、自分がどういう症状を持っているのか認識するためには、まずは自分自身を観察してみることです。そのためには、自分自身の症状をノートに書き出してみるのが一番いい対策だと思います。

 とはいえ、一度でその症状を一気に書き出すことができるとは思わないほうがいいでしょう。ノートに、やるべきこととか、やりたいこととか、思いついたことを何でもメモする習慣をつけて、その流れの中で、自分の失敗経験も忘れずに書いていく。
 過去の失敗経験を思い出したときも、それでくよくよして時間を無駄に使うのではなくて、ノートに書いて一時的に棚上げしておくようにすれば、貴重な時間も無駄にせずに済みます。

 そもそも、ADHDタイプは、行動や作業をするときに必要な「ワーキング・メモリー」と呼ばれる、脳のなかの「記憶のお盆」が小さいといわれています。

 たとえば、朝の通勤という作業。
 毎日のことだからいちいち意識していないようでいて、人は、さまざまな過去の記憶を「ワーキング・メモリー」のお盆にのせて、それを総合的に組み合わせ、未来を予測したりしながら、会社までたどり着いています。
家から駅までは何分、会社までは急行電車で何分、乗るべき電車は新宿行き、降りる時は右側のドアが開くから右寄りに立つ……などなど、通勤にまつわるいろいろな過去の経験を記憶の倉庫から取り出してはお盆にのせて、それらを元に未来を推測して目的を実行しているのです。
 ところが「ワーキング・メモリー」のお盆が小さいと、いくつかの記憶がポロポロとこぼれてしまいます。あわてて電車に飛び乗って「あ~、間に合った」と思ったら、「しまった!逆方向だった」なんて…。
「乗るべき電車は新宿行き」という記憶が、お盆から落っこちてしまったんです。
こんなことが起こりやすいのが、ADHDタイプの人の脳のクセ。だから、ついうっかり忘れたり、ヘマをしちゃったりするのです。

 ワーキングメモリが十分使える人でも、ADHDの『新規探索傾向』といって、何にでも興味を持ち、情報収集する癖によって、あっという間に頭の中がごちゃごちゃしてきたりします。ワーキングメモリは容量が限られているので、そんな使い方に向かないのです。

 だからこそ、ADHDの人はメモ魔になった方がいいと思います。

 私は、普段から大型のノートに、気になったことはなんでも書き込む習慣をつけています。

 あと、パソコンに向かうときは、なんでもEVERNOTEにクリップしたり、メモしたりするのも習慣化しています。

 小さなメモ帳とポストイットも持ち歩いているのですが、サイズが小さいので無くしてしまいやすいです。ペンも持ち歩かないといけないので、私だとメモ帳、ポストイット、ペンのどれかを忘れていることが多く、イマイチ使いきれていません。(だから、机についたときに、覚えていることをできるだけ忘れる前にメモするようにしているのです。)

 だから、最近はiPhoneEvernoteアプリを使うことが多いです。スマホでの文字入力はあまり得意ではありませんが、紙のメモより紛失や忘れるリスクはないので、仕方なく使っている、という感じです。

 とはいえ、Evernoteでは、チェックボックスを使って、こんな感じで忘れ物チェックリストを作ったりすることもできるので、そこそこ便利に使えてはいます。

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 あと、アラームも使えますしね。でも、たまにしか使わないですし、使いこなしているとはとても言える状態ではないですが、無いよりましだなあ、という感じです。

 

 とにかく、自分の症状を普段から観察して、メモを残して、それをヒントに工夫して、自分にしっくりくる対策を徐々に確立していく、という方法が、ADHD対策の基本なんだろうな、と思っています。

 不思議と、『書く』ことで、少ないワーキングメモリーにごちゃごちゃになっていた物事から少し自由になって、すっきりと心も軽くなり、普段ならできないことも何とかこなせるようになっていくものです。ADHDの人にとって、このすっきり感を味わうためだけでも、『メモ魔』になる価値はあると思います。

ADHDの診断では、どんなことを調べるの?

 私は、ADHDの確定診断を受けたわけですが、受診するにあたって、どんな検査をするのか知っておきたい、という人もいるかも知れません。そこで、この記事では、ADHDの検査ではどのような検査をするのか、ということをお伝えしようと思います。

まずは、ADHDの原因を知りましょう

 ADHDの症状の主な原因として挙げられるのが、脳の機能の問題です。

 ADHDの人は、の前頭葉の働きが弱いためにさまざまな症状があらわれるといわれます。

 前頭葉は脳の前方に位置し、この中の前頭前野と呼ばれる部分は、人の理性や思考、整理、実機能を司っています。感情や、感覚、意欲などにも深いかかわりをもっています。

 この前頭葉の働きが弱いと、考えをまとめたり、理性的に考えたり、脳全体で感じ取った情報を整理し、取捨選択することが難しくなります。そのため、目に入ったものや、聞こえた音など覚からの刺に影響を受けやすく、その結果、落ちつきがなくなったり、理性的な考え方が苦手であったり、集中することが難しかったりします。

 ADHDの人の多くは知能に問題はありません。自閉症スペクトラムのような、他の脳機能の障害を併発している場合もありますが、 ADHD単独では知能にはさほど影響がないのです。

 

前頭葉

神経伝達物質の働き
 前頭葉がうまく機能するためには、ノルアドレナリンドーパミンなどの神経伝達物質の働きが重要です。神経伝達物質とは、並んでいる神経細胞と神経細胞のすき間(シナプス間隙④)で働いて、隣から隣へと情報を伝える化学物質です。

(下の図で見ると、②や④にある小さな丸い物質で示されてます)

 

 ドーパミンは意欲や学習機能、運動機能、性機能などにかかわりがあります。

 ノルアドレナリンも意欲や集中力に関係がありますが、ドーパミンが前駆物質となってノルアドレナリンを増やすこともあります。

 

 ドーパミンは、人が集中したり、注意を向けたりするときに、神経細胞の末端(シナプス)から放出されます。役目が終わると、シナプスにあるトランスポーターという物質からもとの神経細胞に取り込まれます。(再取り込み。下図では⑧のようにトランスポーターによる再取込が表現されています。)

 ADHDの人の脳では、このトランスポーターの働きが過剰なためにノルアドレナリンドーパミンが取り込まれ過ぎてしまい、結果的に不足しているのではないかと考えられています。神経細胞同士の情報リレーがうまくいかず、前頭葉の働きが弱くなっているのです。

Synapse diag1

(wikipediaより引用)

物理的に調べられないADHD。診断基準で生活への支障を調べる

 
 こういった神経の仕組みから、ADHDの診断ができれば分かりやすいのかもしれませんが、現実の医療の現場では神経伝達物質の流れを簡単に調べられるわけではありません。また、このような脳や神経伝達物質の仕組みによる原因というのは、現時点ではまだ仮説であって、ADHDの原因がはっきりと分かっているわけではありません。
 
 そのため、ADHDの診断には、「症状によって生活に支障がでているかどうか」を調べる診断基準があります。

 

 ADHDの治療の目標は、「患者が困っている、日常生活の支障を取り除いて、快適な生活が送れるようになること」のはず。

 

 私のように、ADHD的な特性が原因で、学業や仕事で道を踏み外してしまったような人にとっては、この目標を外さないことがとても大切だと思えます。

 

 どんな病気でもそうですが、医師によっては、その目標を外してしまう人がいます。たとえば、患者が「おなかがイタイ」と訴えているのに、「胃カメラで見ても何もないから大丈夫ですよ」と言って患者を家に帰してしまう医者とか。

 

 ADHD治療においても同じことで、治療の目標とすべきなのは「どの病気なのか診断すること」ではなく、診断した後、いろいろな治療を通じて、患者の日常生活を改善していくことだと思います。

 

 だからこそ、ADHDの診断では「症状」を最優先する診断基準になっているのでしょうね。

 

診断基準の種類

 ADHDの診断基準で、広く医療現場で使われている基準はアメリカ精神医学会のDS M-5というものです。書籍として発行されてますが、精神疾患の診断基準をまとめたガイドライン的な本で、アマゾンとかでも普通に売っています。(2万円ちょっとの値段で、高いので精神科医向けの本ですね)

 またWHO(世界保健機関)の「成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト」も使用されます。これは、ネット上でも普通に見れます。

https://www.adhd.co.jp/doctors_lib/pdf/asrs_checklist.pdf

 そのほかに問診で生活の困難さや、普段の様子、子どもの頃の様子、生活環境や、他の精神疾患の有無などを聞きとり、それらを考慮して診断します。同時に知能検査を行うこともあります。

 知能検査により、似た症状のばかの発達障害との鑑別もしやすくなり、本人がどういった能力が高いか、あるいは低いかがわかります。

 現在日本でADHDと診断される場合は、相当生活に支障が出て困っていると考えられるようなレベルです。

 ですから「ADHDと診断されなかったからADHDではない」と思う人もいますが、実際にはADHDはあるなしで区別するのではなく、程度に連統性があり、そうでない人 との間にはっきりした境界線はありません。ADHDと診断されなくてもその特性によっ て困っていて、なんらかのサポートを必要としている場合も多いのです。

 

 

私の診断結果

 私は、検査の際、『WAIS-Ⅲ』という検査を臨床心理士さんの監督のもと受けました。その結果が以下の内容です。ちなみに、私は40代前半男性で、検査日は昨年の11月半ばごろです。

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WAIS-Ⅲ検査結果●

■検査値..[]内はそれぞれの水準を示しています。

●全検査IQ120… [高い] <90%信頼区間:116~123>
言語性IQ124…肩い] 動作性IQ109…[平均]
●群指数
【言語理解】118…[平均の上] 【知覚統合】116…[平均の上]
【作動記憶】115…[平均の上] 【処理速度】89…[平均の下]
■群指数別にみた特性
【言語理解〕
◎ことばの理解や表現力、言語概念、言語による推理・思考力、習得した知識等を測定し
ます。
「単語」「類似」「知識」とも平均を上回りました。語彙は極めて豊富であり、単語の意 味理解、言語概念形成、言語表現とも良好です。抽象的な単語の意味を具体的にわかりや すく、かつ要点をまとめて説明することが出来ていました。社会適応の良さと関連する理 解」の得点も非常に高く(16点)、社会生活を送る上で必要な知識を、十分に有していま す。

【知覚統合】
◎視覚や空間認知、非言語(視覚、直観)による推理力や思考力を測定します。
図形を素早く知覚し操作する力や、空間にある物体について位置関係を維持する能力が高 く、視覚的長期記憶も良く保たれています。「積木模様」の施行スピードはやや遅いもの の、方略を持って組立てる様子が観察されました。論理的な思考力があり、図形などの抽象 的刺激の認知処理も問題ないと考えられます。

【作動記憶】ワーキングメモリー
◎課題への注意・集中。聴覚的短期記憶力。口答指示の聞き取りなど学習の基礎となる力 も測定します。
課題によってばらつきがありました(「算数」「語音整列」11点、「数唱」16点)。「数 唱」では、順唱より逆唱の成績が良い(両方とも最大スパンが8桁)との結果でした。施 行中に方略を編み出していたとのことで、流動的推理(新しい課題に直面したときの知的 操作力)の高さが伺われます。

【処理速度】
◎資格刺激を速く正確に処理する力、注意の持続性、視覚的短期記憶を測定します。
他の3群より低い値となりました。施行の様子からは筆記技能は問題ないと考えられ、視 覚-運動の協応の苦手さがあるかも知れません。補助検査の結果からは、視覚的短期記憶 の弱さが認められます。

■【総合所見】
全検杳査IQは120で、数値上は「平均の上~高い」水準でした。
言語性IQが動作性IQを上回り、群指数にも差があることから認知面のアンバランスが示唆 されます。
群指数の比較では【言語理解】【知覚統合】【作動記憶】とも高い値を示しましたが、【 処理速度】のみ平均を下回りました。
ことばで聞いて、考え、表現する力はとても高く、語彙の豊富さからも高度な結晶性知能 を有すると考えられます。既に知識として身についている事柄や、具体的なイメージが持 てることには十分な力を発揮できるようです。【知覚統合】の高さから、新奇な情報に基 づく課題処理能力や、推論する力が優れていることが示唆されます。ワーキングメモリー の力も高いとの結果ですが、これには知的操作力の高さが寄与していると思われます。実 際には、注意・集中にかなりの努力を要しているのでは、と推測されます。

一方、【処理速度】は平均値を下回り、単純な視覚情報を正確に読み込み作業する力が弱 いことが示唆されます。視覚的短期記憶、視覚的走査や追跡の苦手さがあり、事務処理等 のスピードは遅くならざるを得ないのではないでしょうか。単純な課題に対して、より多 くの認知的な努力を必要とするため、精神的に疲れやすいとも考えられます。

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 この結果だけ見ると、医師もADHDという診断は下しにくかったようです。私の場合、【処理速度】の項目がやや低く、『視覚的短期記憶、視覚的走査や追跡の苦手さ』というムラはあるものの、知能も数字上は高く、典型的なADHDの人のように多動の傾向は一見して分からないからです。

 

 

 しかし、書類のミスなどが多く実際に仕事をするうえで支障をきたしていること、忘れ物や無くし物の傾向が子供のころから続いていること、過去にギャンブル依存の履歴や離職を繰り返すなど社会生活上の問題点も発生していることなどから、健常者とADHDのボーダーライン的な状態なのかもしれない、と判断されたようで、薬物治療を低用量から始めてみて、ようすをみてみよう、ということになりました。


『子供のときから現れる』のも、重要な診断の根拠

 ADHDでは、診断基準とは別に、特別支援教育のめやすとして、文部科学省が発表したADHDの定義が使われることがあります。文部科学省によるADHDの定義とは次の通りです。

ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告ご参考資料より抜粋)

 

 私の場合、子ども時代をよく知る両親と臨床心理士さんが面談したり、小学生の時の通知表を確認してもらったりして、子どものころから忘れ物が多かったりしたことを確認してもらいました。ただ、多動の傾向はあまり見られなかったため、診断に迷いが生じたようでした。

障害?個性?治療の必要性を考える

 ADHDの特性は、あるか、ないかだけで判断されるものではありません。特性のあらわれには連続性があり、その強弱と生活への支障の度合いで治療の必要性を判断します。特性に強く当てはまっても生活に支障がなければ治療の必要性は低いと考えられます。

 ADHDの特性は、治療の必要がなければ障害ではなく、その人の個性なのです。実際、会社の経営者や、芸術家のような仕事ではADHDの特性を持っていても適応して、才能を発揮している人が多いですしね。むしろ、ADHDの特性をもっているからこそ、輝けるのかもしれません。

 私の場合は、ADHD的な特性を持っていますが、それは相対的に見て強いわけではありません。私よりずっとひどいADHDの人がいっぱいいて、私の場合は健常者とあまり区別がつかないくらいです。この点は、医師にもいわれました。『あなたの場合は、今までADHDと診断してきた人と比べて、言われなければなかなか気づかないですよ。普通は、もっとはっきりとADHDと分かるものです。』と。

 しかし、とても困っていて、生活に支障を来しているのはまちがいないので、症状が軽くても治療に踏み切ったわけです。

 まあ、私の場合は、自分自身の努力でかなり状態を改善してきていたので、治療の必要があるのかどうか医師が判断に困ったのかもしれません。ギャンブル依存や離職などの社会生活上の問題点も、ある程度は解消されているので、世間一般的には何の問題もない人に見えるでしょうから。