ADHDの経営コンサル情報日記

ADHD(注意欠如・多動性障害)特性を持つ経営コンサル会社社員の日記です。メンタルヘルス、健康、経営、業務効率化など、関心のあることについて書いていきます。

ADHDの症状をコントロールすることを考える

どの症状に一番困っているのか?

自分のADHDの症状をきちんと把握することが大事だ、という趣旨のことを前の記事で書きましたが、その際、『どの症状に一番困っているのか』を明確につかんで、困っていることから優先順位をつけて対策を練っていくことが、ADHDの症状をコントロールするうえで有効のようです。

以下に、ADHDの典型的な症状例を挙げていますので、それぞれに、最大に困っているのを10点として、10点満点で何点か、スコ アを付けてみると、何を最優先して対策を取って行けばいいのかが分かります。

ADHDの典型的な症状例)

  • 落ち着きがなく、じっとしていられない。
  • よく急に動いたり、立ち止まったりする。
  • 絶えず貧乏ゆすりをしたり、手に持ったものを動かしたりしている。
  • いつもガムをかんだり、飴をなめたりしている。
  • 飽きっぽい。
  • 計画的な行動は苦手で、思いつきで行動しがち。
  • 要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。
  • なにかをしている途中で他のことに気を取られて集中できない。
  • 話をよく聞いていない。
  • 話を理解していない。
  • 同時にいくつものことを言われるとパニックになる。
  • 同じことを何度も注意される。
  • 時間をよく間違える。
  • 頻繁に時間に遅れる。
  • 遅刻しないように準備していても、別のことが気になり、気づいたときには時間が過ぎていることがよくある。
  • 朝なかなか起きられない。
  • 組織の一員として高い精度が要求される(事務など)仕事をこなすことは難しい。
  • チームワークは苦手。
  • 創造性を重視する仕事では能力を発揮できるが、決まったことを正しくこなす仕事だと評価が低い。
  • スイッチが入ると急に怒りだし、暴言を吐いたりしてしまう。
  • どこでも不機嫌そうにしたり、怒ったりして感情のコントロールができない。
  • 怒りによって家庭やものを壊したことがある。
  • うっかり不謹慎なことや失礼なことを、口に出して言ってしまう。
  • いつの間にか、相手を怒らせてしまう。
  • 買い物、タバコ、お酒、ギャンブル、インターネット、恋愛などに依存しやすい。
  • 忘れ物などが気になり、何度も確認しないと落ち着かない。
  • 自分に自信がない。
  • 人を信じやすく、よく騙される。
  • カードローンや、電気、水道、ガスの支払い期限を忘れてしまい滞納することがある。
  • 人の話を遮って話しはじめたりする。
  • 後先考えずに行動してしまうことがある。
  • ものを置き忘れる。
  • ものをなくす。
  • 買ったり、もらったりしたものを忘れてしまう。
  • 片づけが苦手。
  • しなければいけないことがあってもなかなか行動に移せない。

(引用文献:大人のADHDコントロールガイド)

 私もやってみましたが、『要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。』『同じことを何度も注意される。』『 ものをなくす。』『片づけが苦手。』に10点を付けました。

 

ADHDの衝動を3つに分類

 ADHDは、大きく分けると、「多動性」と、「衝動性」、「注意欠如」という3つに分けられます。また、この3つには分類し にくい特性もいくつかあります。過去にも説明したかもしれませんが、それぞれがどういうものか、おさらいしますね。

多動性・・・多動性とは動き回ったり、じっとしていられない特性です。たとえば、そわそわ落ち着かない気がしたり、貧乏ゆ すりのような動作をしていることもよくあります。じっと座っていたり、待つことが苦手です。

衝動性・・・衝動性は、衝動的な言動をしてしまうことですが、思ったことをすぐに口にしてしまうために失言が多かったり、 ひとの話をさえぎって話してしまったり、目についたものを後先考えずに買ってしまう衝動買いや、勢いで大胆な行動をしてし まうこともあります。また、熱しやすく、冷めやすい特徴がみられます。衝動的に動いてしまうので、計画的な行動も苦手です 。

注意欠如・・・注意欠如は、集中力が続かなかったり、すぐに注意が逸れてしまう特性です。誰でも多少はミスをしますが、 ADHDの人はかなり頻繁にミスをします。仕事などで不注意なミスを連発したり、忘れ物、無くし物が多いです。遅刻をしたり、 期限に間に合わないこともあります。また、約束自体を忘れていることもあります。そのほか、人の話してることが理解できな かったり、作業の手順や段取りをイメージできなかったりします。また、デスクや部屋が散らかりがちで片づけが苦手な特性も あります。

その他・・・そのほか、ADHDの人に現れやすい特徴に、興味のないことにやる気が出ない、というものがあります。やらないと いけないと分かっているものでも、なかなか手が付けられないのです。朝、起きられないというのもADHDの人によく見られます 。不安感が強く、例えば特に心配されるような医学的所見が無くても、自分は病気ではないか、病気になるのではないか、という不安にさいなまれたり、自信の今までの経験から、「また失敗するのではないか?」「他人から軽蔑されているのではないか ?」という不安感を抱いている人もいます。不安感から抑うつになったり、確認行為がやめられないというケースもあります。

 

 症状のスコアと分類から、診断に役立てたり、対策を考えよう

 スコア付けした自分の症状を見て、あらためて「自分のADHDのタイプがどういうタイプなのか」を考えてみると、診断のときに、医師や臨床心理士の先生方に、自分の症状を説明しやすくなりますし、それに応じた対策を考えていくこともできると思いますので、分類してみるといいと思います。

 例えば、先に書いたように、私の場合、要領が悪く、他の人より業務をこなすのに時間がかかる。』『同じことを何度も注意される。』『ものをなくす。』『片づけが苦手。』に10点を付けたのですが、これらは主に注意欠如の特性です。ADHDに関する本を読んだり、対策を立てていくうえでも、「注意欠如をカバーするためにはどうしたらいいのか」と考えて本を読んでいったり、対策を立てて行けばいいわけです。

 

 とはいえ、対策を考えても、そう簡単にはうまく対処できるようにならないと思います。

 でも、それが当たり前で、長い時間をかけてできることから徐々に改善していくんだ、これを一生続けるんだ、という気持ちでやっていくのが一番だと思います。

 続けていたら、気が付いたら過去の自分では想像もできなかったような場所まで進んでいるものです。

 

ADHDの症状をコントロールするって、どういうことだろう?


 この記事のタイトルには、「ADHDの症状をコントロールすることを考える」というお題を付けていますが、そもそも、ADHDの症状をコントロールするとは、どういうことを指しているのでしょうか?

 

 私の場合ですが、過去の記事でも書いているのですが、まとめると、「ウツや依存症などの二次障害に陥らないように予防することと、トラブルや失敗をできるだけ回避して、仕事や日常生活に支障が出ないようにしていくこと」ということになると思います。できれば、「快適に楽しんで仕事や日常生活を送れるようになる」のがベストなのですが、そこまで絶好調の状態になるのは、自分の意識で調整してやるのはなかなか難しいです。


 絶好調の状態で仕事に没頭できることがあるのもADHD脳の特徴の一つだとは思うのですが、気分にムラがあるので、どうしたらいい、という、誰にでも通じる方法は無いと思います。個人個人で調整していくか、専門家に相談するしかないのではないでしょうか。しかし、絶好調に持っていくための専門家って・・・こういうのは、セラピストさんの仕事になってくるんですかね?「私はこうしたら絶好調で仕事に臨めるよー」という方法を持ってる人がいらしたら、ぜひコメントで教えてください<(_ _)>

 

トラブルや失敗を避けるために「決定的瞬間」に気を付ける

 

 ADHDを扱った書籍にたまに書かれていることですが、失敗を繰り返し起こす人の場合、ほとんどの場合、失敗が起こる少し前に、失敗が起こるかどうかを決定する分岐点があると思います。

 遅刻をしてしまう人は、待ち合わせ時刻を決めたときに電車の乗り換え情報を確認しなかった瞬間や、出かけるべき時刻の数分前に立ち話を始めた瞬間が、その「決定的瞬間」です。

 部屋が散らかる人は、部屋に持ち帰ったチラシやDMをゴミ箱に捨てないでテーブルの上に置いた瞬間や、使ったドライヤーや爪切りなどの道具を元の場所にしまわなかった瞬間、ゴミを収集に出せるように前日に玄関に置かなかった瞬間も「決定的瞬間」です。

 つまり、あとで「あのときああしていれば」と思えるような瞬間が、分岐点と言える「決定的瞬間」なのだと思います。その決定的瞬間をコントロールすることがトラブルを減らし生活を改善することにつながります。

 この考えを知ってからは、私も「決定的瞬間」を意識して、生活するようになりました。私も含めADHDの人は場当たり的に行動しがちです。そういう人がいい習慣を身につけたり、危機に備えたり、見通しを立てたり、余裕を持った行動をしたりするのは、結構大変なことです。

 常になんだかいろんな考えやアイデアが入れ替わり立ち代わり頭の中を支配していくので、それに気をとらわれて「決定的瞬間」に気づかずにスルーしてしまうことが多いからです。未来のことが想像できなかったり、想像しようと思わないことが多いので、前もって「決定的瞬間」に備え、準備することを心がけましょう。

 たまに「決定的瞬間」に気づいて、ちゃんと備えることが出来たときには、自分を誉めてあげて、その習慣を長続きさせるようにしていくようにするとよいと思います。

 「決定的瞬間」があるということを知らないで、無意識に行動するのは失敗のリスクを高めます。ADHDの人は、ワーキングメモリの働きが悪い(もしくは常にワーキングメモリをいろんな考えでいっぱいいっぱいにしている)ので、いろんなことを忘れがちです。ですが、しっかり意識して記憶を定着させようとすると、長期記憶は悪くない場合が多いのです(高学歴のADHDも少なくないのは、そのためだと思います)。

 「決定的瞬間」を意識することで、失敗を予測して、先回りして行動することや、意識して記憶にとどめるようにすることがしやすくなります。また、メモやふせん、スマホなどの道具を駆使して、「決定的瞬間」を逃さない仕組みづくりをすることも大切だと思います。

 

ADHDのコントロールを続けるコツ

 ADHDの症状をコントロールすることは、そもそもとても難しいことだと思います。だから、全てを完璧にやろうとすると、挫折感が強くて、諦めてしまうことが多いかもしれないです。しかし、「うまくいかないのが当たり前だ、できる事を少しずつやっていって、うまくいったら自分を誉めよう。そして、一生続けよう」という気持ちでやれば、いい意味での開き直りができ、続けられるような気がします。

 それに、ADHDの特性のあらわれ方が人によって異なるように、生活している環境や、立場も異なります。他の人ではうまくいった方法が、必ずしもご自身の暮らしにマッチするわけではないでしょうから、自分なりの良い方法を探し、確立していくのが大切なのではないでしょうか。困っていること(困っていなければ直す必要はないです)を直し、得意なこと、できることを活かし、物事がうまくいくときの状況を把握し、周囲に協力を得られそうなことは協力してもらう、等々、色々なことを総合的に考えて、「自分でもできる」と思う具体的な方法を考えるしか、方法は無いのだと思います。

 完璧である必要はないです。そもそも完璧は無理です。でも、落ち着いた、豊かな人生を取り戻すためには、ADHDの症状をコントロールすることに取り組むことが必要なのだから、ただできる事に淡々と取組み、多少失敗しても自分を責めないのが大切なんでしょうね。

 周囲の人が無理解だったり、「怠けている」などのレッテル貼りがひどい場合、周囲の人に色々言われたりすることもあるかも知れませんが、その場合も自分の考えを最優先する強さは必要なのかもしれません。(周囲に迷惑をかけても良いということではなくて、迷惑を掛けないように努力することは大前提なので、誤解なさらないようにお願いいたします。ADHDだから、周囲は協力するのは当然、という考えが正しいわけはないのですから。)